タグ

, ,

今回の事件の結末は非常に残念だが、しかしながら、問題が発覚した時点である程度この結末は目に見えていた部分もあって、だからこそ情緒的・反射的にではなく、冷静に対応したいと思うのである。野口さんのおっしゃってることはしごくもっともで、政府(安倍)が悪いとか、自己責任だとか、そういうことを言う人は、どちらも自分の責任を放棄しているか、知識がないか、想像力がないかのどれかだ。

昨日からこれに関するTVニュースを見ているが(実はその前日にかなり眠くて、9時くらいには寝てしまったこともあり、早朝目が覚めてテレビをつけたらちょうど第一報が入ったところだった)、日本のテレビ局の報道番組にはまともなアンカーマンがいないのか、じゃあこれからどうしたらいいのか、ということを結論づけずに、いたずらにすでに起こってしまったことのビデオを流し続けるという、ろくでもないものばかりだった。これでは、闇雲にISの恐怖を拡散しているだけではなかろうか。

僕が思うに、「テロとの戦い」に否応なく巻き込まれたからには、国民側もある程度の意識は必要だが、何もそれほど身構えることはない。「ISが何を言おうが、ふざけんな、バーカ」くらいの気持ちでいいはずだ。ただ、日本は政府も国民も、この地域に対する正確な情報・知識・関心がなさすぎるのは、本件の対応でも明らかになった。まずは敵を正確に知ること、これが大事だろう。ベースとなる知識もないのに、いたずらに怖がったり、嫌悪したり、ましてや攻撃するのは間違っている。

もうひとつ注意しなくてはいけないのは、今後、日本国政府があまりにもヒステリックな対応を起こさないように監視することだ。一部国会議員はこれまでもトンデモ発言をしているし、安倍首相も、こうした事態に備え、自衛隊を派遣することを検討するようなことを言っている。個人的には、自衛隊の派遣自体に反対というわけではないのだが、どうやって助けるのか?の具体的方法がまったく見えない。

http://jp.reuters.com/ar…/jp_islamicst/idJPKBN0L602K20150202

以前にも書いた通り、このレベルの捕虜救出作戦を全世界的に行えるのはアメリカ合衆国だけであり、そのアメリカでも、イラクでは作戦を失敗しているほど、救出作戦というのは難しいものなのだ。つまり、そういうまさにミッション・インポッシブルに期待するよりも、もっと国をあげて、普段からの絶えざる情報収集を行ったり(もちろんジャーナリストの活動も含まれる。そういう意味で、最前線で動けるジャーナリストの存在は国にとっては宝だ)、外交官の人員を増やすなど、やるべきことはたくさんあるだろうという話だ。もちろん、有事の際には、当事国に全面協力してもらえるような関係構築は重要だし、日本という国が本当の意味で自立するには、まずこうした人的ネットワークしかないだろうと思うのである。